人種主義の歴史
RECISM - A HISTORY
- 規 格: DVD(英語音声/日本語字幕・英語字幕版) 全3巻(各巻50分)
- 制 作: BBC 2007年 / 日本語字幕版制作・発行 丸善出版株式会社 2015年
- 本体価格:
3巻セット 120,000円 分売各巻 40,000円 (販売終了)
- 注文番号: MP-1507 後継版 BBC 黒人たちの英国史 ➡ 詳細はこちらから
英国の奴隷貿易廃止200周年にあたり制作されたBBCドキュメンタリー
“人種”という概念と“人種主義”が、科学、文化、政治、そして歴史に及ぼした世界的影響を、歴史的資料にもとづき著名な学者たちが解説する。人種主義の本質とその思想の根底に横たわる人間心理や社会構造を明らかにする。
監修のことば: 竹沢 泰子(京都大学大学院人文科学研究所 教授)
BBCによる本シリーズは、英国が旧植民地において繰り返してきた人種主義による虐殺と文明破壊の歴史に光を当てた作品である。ナチスによるホロコーストが例外ではなく、それにつながる残酷な歴史がそれ以前からあったことを当時の写真や映像とともに暴き出している。埋もれた史実に向き合うことによって見えてくるものは何か。法の下の平等が約束された現代における、新たな形の人種主義についても考えさせてくれる力作である。
1. 利益追求と人種主義
THE COLOUR OF MONEY
英国による奴隷貿易の開始に伴い、アフリカでは原住民が捕獲され、黒人奴隷として売買された。南米ではスペインの征服者らによって先住民が酷使されつつ、“混血”が進んだが、独立後のアメリカ合衆国では、白人と黒人に二分された社会が形成されいく。奴隷制は、聖書の記述の曲解により正当化され長く続いたが、その後、数々の奴隷の反乱によって、ついに廃止された。奴隷制度から得た莫大な利益は、皮肉にも今日の欧州発展の礎となった。
2. “白人の責務”の名のもとで
FATAL IMPACT
奴隷制廃止の後も、英国は、先住民や黒人をキリスト教化し、文明化することが“白人の責務”であるとして、現地への入植と彼らの支配を進めた。しかしそれが困難だとわかると暴力や虐殺は残酷さを増し、多くの民族を絶滅へと追いやった。欧米は人種主義的な社会進化論や優生学に、黒人や先住民の虐殺や断種の科学的根拠を求め、自らの支配や差別の正当性を主張した。後のナチスによるホロコースト以前にも、それにつながる数々の虐殺の歴史があったのである。
3. 見えない人種主義の時代へ
A SAVAGE LEGACY
アメリカ合衆国では、奴隷制廃止後も黒人への残酷なリンチが続いた。コンゴで起こった大虐殺の歴史は風化したままである。南アフリカにおける反アパルトヘイト運動や合衆国での公民権運動などの抵抗運動により、黒人らの法的権利は改善された。しかし貧富の格差はむしろ広がり、警察による暴力は止まらず、黒人の投獄は著しく増えている。生物学的根拠のない“人種”という作り話は、過去だけでなく現在も人々の権利を奪い続けている。